首の異常は万病につながる

◇年を取るにつれ首の不調が生じやすくなる

清水脊椎クリニックは脊椎専門のクリニックです。脊椎とは、背骨のことです。脊椎は体を支える役目だけ
でなく、脊髄の通り道でもある重要な器官です。患者に負担の少ない手術(低侵襲脊椎手術)を得意としますが、脊椎ドックも設けて、首や腰の病気の早期発見・予防にも力を入れています。

最近増えているのが、頚椎、つまり首の骨に異常を抱える患者さんです。

首や肩がこる、首が痛い、手がしびれる…。こうした不調がある場合、首の骨である頚椎の障害がかかわっている可能性が高くなります。

頚椎は人体の器官の中で最も老化しやすい部位。そのうえ、5~7kgもの頭を持ち上げながら、両腕の動きも支持している頚椎には、たえず負担がかかっています。年を取るにつれ首の不調が生じやすくなります。

中高年に圧倒的に多い首の病気といえば、頚椎症です。原因は、老化による頚椎の変形や、軟骨の変性です。主な症状には、首や肩のこりや痛み、首を動かしつらい、動かすと痛むなどがあります。さらに病気が悪化すると、手足のマヒや排尿障害など、首以外の症状が現れます。首のトラブルは万病につながるのです。

 

 

◇首は日本人の弱点

脳と全身をつなぎ、重要な神経や動脈が集中している首は、体の急所です。ところが、その割に頚椎は骨の量が少なく、無防備にできています。

加えて、日本人を含む東洋人は、欧米人と比べると一般に骨格が細く、頚椎も小さめで、頚椎の中を貫く孔、脊柱管も狭くできています。

頚椎に変形が生じて脊柱管が圧迫されると、中を通る脊髄は刺激を受けやすく、痛みやしびれなどが生じやすくなります。こうした背景から、日本人は首が弱く、頚椎の病気を引き起こしやすいといわれています。

頚椎の中でも、クッションの役割を担う椎間板は老化による変性が起こりやすく、20代から老化が始まります。加齢にともない椎間板の弾力性が失われると、椎骨の負担が大きくなり、軟骨が変形します。
すると骨棘(こつきょく)というトゲ状の出っ張りができて、神経根や脊髄を圧迫するようになります。この状態が頚椎症です。

◇若い人に多いのがヘルニア中高年に多いのは頸稚症

頚椎症には二つのタイプがあり、骨棘が神経根を圧迫して起こるものを頚椎症性神経根症、脊髄が圧迫されて起こるものを頚椎症性脊髄症といいます。

神経根症の主な症状は、首から肩、腕へ走る痛みやしびれなどです。首を少し動かすと肩甲骨がびりびり痛みます。

脊髄症の症状は神経椒症より深刻で、手指が思うように動かせなくなったり、歩行障害や排尿障害などが現れたりします。

頚椎には自律神経(意思とは無関係に血管や内臓の働きを調整する神経)の中枢が隣接しており、頚椎の変形によって中枢が刺激されると、頭痛や吐き気、めまいなどの症状が現れることもあります。

頚椎症に次いでよくみられるのが、頚椎椎間板ヘルニアです。

こちらは30~40代前半にかけて多くなります。

椎間板は髄核というゼリー状の物質と、それを取り囲む線維輪からできた弾力に富む組織です。老化や激しい運動、長時間同じ姿勢を取るなどして頚椎への負担が増すと、椎間板に変性が生じてつぶれやすくなり、中身の髄核が飛び出すヘルニアが生じます。ヘルニアが神経根や脊髄を圧迫し、痛みやしびれなどが現れます。

首の不調はめずらしくなく、油断している人がたくさんいます。しかし、放っておくとやっかいな病気を招くこともあるので要注意です。