容易に好転しなかった重症のニキビが酢卵を塗ることで完治した

◇タイムカプセルで眠り続けた書

酢卵の健康法といえば、酢卵を「飲用する」方法が大半でしょう。

今回、ご紹介する方法は、飲用ではありません。外用、すなわち酢卵を「肌に塗る」というものです。

これは、ニキビ対策として大変有効です。病院で治療を受けても容易に好転しなかった重症のニキビが、酢卵を塗ることで完治した、という例も少なくありません。

また、ニキビだけではなく、美肌法としても利用することができるでしょう。

そもそも、この酢卵の美肌法の基は、『医心方(いしんぼう)』に載っているものです。

『医心方』は、現存する日本最古の医学書です。

平安時代の医官・丹波康頼(912~995年)が、中国やインドの、紀元前から唐代末までの医書などから、あらゆる病気や願望の対処法や理論を集めて編纂した書物です。

『医心方』は、現代に至るまで、「幻の書」「難解な書」とされ、書名だけが知る人ぞ知るものでした。貴重な情報をたやすく読み解かれないように、その文が難解な文字による古い漢文によって暗号化されていたためです。いわば、1000年もの間、タイムカプセルで眠り続けてきた書でした。

 

 

◇いろいろな健康雑誌で紹介された

『医心方』には、多くの経験の積み重ねから導き出された貴重な医学的、薬学的情報が蓄えられています。

その情報すべてが、現代でそのまま通じるわけではありません。しかし、その中には、私たちの健康に役立つ情報が数多く埋もれていることも、また事実なのです。

ときには、現代医学でも治療に手を焼くような症状が、『医心方』 の処方を使ってみると、びっくりするほどよくなることがあります。

いろいろな健康雑誌で、これまでにも『医心方』の処方の中からいくつかを、現代に通じる健康法として紹介してきました。『安心』2014年11月号でも、『医心方』に書かれていた「ひざ痛に効く酒かすシップ」を、自身の体験手記として紹介されています。

今回、ご紹介する酢卵の美肌法もその一つです。

◇三年酢に鶏卵を三日漬ける

その処方が載っているのが、『医心方』の巻四「美容篇」です。

「美容篇」には、養毛術を中心とした、髪に関する情報や、肌のさまざまな症状の対処法が紹介されています。シミ、ソバカス、イボ、ウオノメ、そのほか、傷や灸のあとを消す方法、ワキガの治療法も載っています。

ニキビに関しては、次のような記述があります。

「葛氏方 以三歳苦酒漬鶏子三宿普軟破取以塗良」

これを訳すと、こうなります。

「三年酢に鶏卵を三日漬けると、殻が溶けて軟らかになるだろう。これを破って中身を取り、患部に塗ればよろしい」

最初に出てくる「葛氏方」というのは、中国晋代の大医学者・「葛洪の医書である」という意味です。

◇美肌効果も期待できる

古典研究科の槙佐知子さんは、実際にこの処方に基づき、酢に漬け込む期間などを試行錯誤しながら、酢卵を作ってみました。

槙さん自身は、ニキビができるほうではありませんが、たまたまえりあしに一つできたとき、この酢卵を、槙さん流の工夫をして塗ったところ、たった2日でニキビがポロリと取れ、完治させることができました。ニキビの芯まできれいに取れたのです。

槙さんは、かつて教えていた大学で、学生たちに、この酢卵を紹介したことがあります。

まず、片方の手の甲に酢卵を塗ってもらったところ、塗った方の手が、肌の深部の汚れまで取れ、白くきれいになった、と大好評でした。しかも、塗ったところの肌のきめが整い、すべすべになったと学生たちは口をそろえて言いました。

このように、酢卵は、ニキビだけではなく、皮膚の深部の汚れを取り除き、清浄にする美肌効果も期待できるのです。

ただし、卵アレルギーのある人、肌の弱い人は絶対になさらないでください。