へそとその周りを温める「へそカイロ」は、さまざまな不調を改善してくれる

●鍼が直接できない重要なポイント

専心良治院長の島田智史先生は東京・港区で、鍼灸と整体を合わせた治療を行っています。専門としているのは、腰痛、眼精疲労、バレエダンサーの体の痛みやケガなどの治療です。

これらの症状はいずれも慢性化しやすく、偏った体の使い方や、日ごろのケアが足りないために起こります。また、単に体をらくにするだけでなく、より動きやすい体、不調を起こしにくい体にしていくには、日常的に自分の体をいたわってあげることが大切です。

島田先生はこうした考えに基づき、患者さんには鍼灸や整体の治療を受けるだけでなく、普段の生活でセルフケアを積極的に行うことを勧めています。

その中で、使い捨てカイロでへそを温める、「へそカイロ」は、島田先生が患者さんにお勧めして、とても喜ばれている方法です。カイロでへそとその周りを温める、という簡単この上ない方法ですが、胃腸の働きをよくする、アレルギー症状を和らげるなど、さまざまな効果が期待できます。

 

 

へそは、東洋医学的にいうと神闕(しんけつ)というツボそのものです。

神闕とは「神の気(一種の生命エネルギー)が通る門」のことで、おなかの赤ちゃんが、お母さんの栄養をへそから得て育つことを意味しています。別名は気舎といい、気が集まるところとされます。

東洋医学では、「胃腸が丈夫であれば、病気を受け付けない」という考えがあります。

神闕は内臓にいちばん近いので、内臓全般、特に胃腸の疲れを取る効果があり、便秘や下痢、むくみ、アレルギー疾患などに幅広く効くとされています。

また、このツボは任脈(にんみゃく)という経絡(気の通り道)上にあります。任脈は子宮から始まる経絡なので、月経不順や不妊、更年期障害など、婦人科系の不調にも効果があります。

しかし、へそそのものに鍼を打つことはできません。そのため、ショウガやみそを使い、もぐさが直接肌に触れないようにする隔物灸や箱灸といったもので、間接的に温めることが多いです。

●腸の働きと大いに関係している

さまざまな不調の特効ツボでありながら、直接鍼で刺激することのできない神闕(しんけつ)ですが、「へそカイロ」なら手軽に、安全に心地よく刺激することができるのです。

もう一つ、へそ周りには重要な治療ポイントの中衝(ちゅうしょう)があります。へその両わき、2~3cmのゾーンが中衝に当たると考えてよいと思います。

中衝は消化器系、特に腸の働きと大いに関係していると考えられています。具体的には、腸の状態を整え、飲食物の消化吸収を高めて、元気を出す、気分を落ち着かせるなどの効果が期待できます。

古くから伝わる東洋医学の文献には、「中衝は体の表と裏を調整する」とあります。これは今でいう、腸管免疫のことだと推測されます。免疫は、病原体や毒素などの異物を排除して体を守る、人間にとって非常に大切な機能です。

腸には全身の免疫細胞の6~7割が集中していますから、腸を整えることは免疫力を高めるために非常に重要です。

免疫力を高めることは、アレルギーの改善にもつながります。現代人の一般的な食生活を考えると、腸管免疫が落ちている人は、たくさんいると思われます。そのため、中衝を活用することは大いに意味があるのです。

●効果が早いのも優れた点

ここまで説明したように、へそは神闕というツボそのものであり、へその両わきには中衝という治療部位があります。へそとその周りを温める、へそカイロは、その両方に効率よく働きかけ、さまざまな不調を改善してくれるのです。

さらに、効果が早いのも優れた点です。もちろん個人差はありますが、特に鼻炎や花粉症には早く効くようです。

実際に、島田先生の患者さんから「へそカイロをして、1時間くらいで、くしやみと鼻水が止まった」「鼻の周りが赤くなってつらかった鼻炎が、薬を飲まずに治まった」という報告をいただいています。

また、「足の指の冷えが解消した」という人や、「体の軸がしっかりし、試合前の心のコントロールができるようになった」というアスリートの患者さんもいます。

これからの季節は寒さが厳しくなりますから、体の冷えやカゼを予防するためにも、とてもよい方法だと思います。

なお、使い捨てカイロでへそを温めるときは、必ず服などの上から当てます。基本的には、日中は着けたままで構いませんが、低温ヤケドには注意が必要です。