耳管開放症は「副交感神経を刺激すれば改善」

●副交感神経を優位にして、耳管開放症を改善する

金沢市立病院耳鼻咽喉科科長の石川滋先生は以前から、耳管開放症の患者さんに加味帰牌湯(かみきひとう)という漢方薬を処方し、成果を上げてきました。私が行った臨床試験では、75%の人に改善効果がありました。

加味帰脾湯は、胃腸が虚弱で精神的なストレスがある人によく出す薬で、精神安定作用や不眠、貧血改善作用などがあります。しかし、なぜ耳管開放症に効くのか、わかっていませんでした。それが最近、金沢市立病院神経内科(杉山医師)の研究によって、効く理由の一端がわかりました。

交感神経活動を測定する装置を使って、耳管開放症の患者さんを調べたところ、9名中8名は交感神経が優位になっていました。その人たちに、加味帰牌湯を処方し、症状が改善した5名中4名は、その交感神経の克進がおさえられていました。

このことから、加味帰脾湯は副交感神経を優位にして、耳管開放症を改善すると考えられます。

 

 

●食後2時間は運動を控えましょう

以上の調査結果や私の臨床経験から得た結論は、「耳管開放症は副交感神経を刺激すれば改善する」ということです。その1つが爪もみであり、加味帰牌湯です。それ以外にも、例えば次のように生活をすれば、副交感神経が優位になり耳管開放症が改善する可能性があります。

①よくかんでゆっくり食べる

食事をすること自体が、副交感神経を活発にします。また、かめばかむほど副交感神経は刺激され、ゆっくり食事をすれば、副交感神経が働く時間も長くなります。

②食物繊維をたくさんとる

野菜やキノコ、海藻などに多い食物繊維は消化されにくいため、腸に長時間とどまります。腸が働く時間も長くなり、副交感神経優位の状態が続きます。

③水分をじゅうぶん補給する

水分をしっかりとると、泌尿器系が活発に活動し、副交感神経が優位になります。

④おふろにゆっくり入る

おふろに入ってリラックスすると、血流がよくなり、副交感神経も優位になります。

⑤激しい運動や食後の運動を避ける

激しい運動をすると交感神経が刺激されます。食後は消化活動が盛んで、副交感神経が優位になりますから、食後2時間は運動を控えましょう。

耳管開放症は、疲労の蓄積や睡眠不足でも起こりやすいことがわかっています。ふだんから体を休めて、疲れをためないことも大切です。

石川先生は海外にも、耳管開放症の情報を発信しています。それを読んだ海外の患者さんからも、爪もみなどを行って、症状が改善したという声が届いています。耳管開放症の悩みは、世界共通のようです。