一日一杯の赤ワインで健康に

かつてのブームを経て、赤ワインの人気は日本でもすっかり定着したようです。産地やプドウの品種による味わいの違い、料理との相性など、その奥深い世界はほんとうに魅力的ですが、もうひとつ、うれしいのが、「赤ワインは健康にいい」ということでしょう。

よく知られているのが、フレンチ・パラドックス(フランスの逆説)という現象です。ご存じのとおり、欧米では動物性脂肪(飽和脂肪酸)をたくさんとります。すると、コレステロールが増え、動脈硬化が起こりやすくなり、その結果、心筋梗塞による死亡率が高まるのですが、なぜか、フランスにかぎっては、その死亡率が欧米の他の国々よりきわだって低いのです。

美食を好むフランス人のこと、肉、バター、チーズなどの動物性脂肪の摂取量が、他の国の人々よりも多いという事実があるにもかかわらず、です。それがどうやら、彼らがよく飲む赤ワインの恩恵らしいのです。

ボルドー、ブルゴーニュなど、フランスは赤ワインの本場です。そして、赤ワインには、アントシアニン、カテキン、タンニンなどさまざまなポリフェノールが豊富に含まれ、優れた抗酸化力をもつことで知られています。ポリフェノールがコレステロールの酸化を抑え、動脈硬化を予防しているのです。

さらに、もうひとつ。じつは、「赤ワインは脳にもすごくいい」 のです。やはりポリフェノールの一種であるレスベラトロールという成分が、脳の中で記憶に関わる海馬を活性化するのです。実験では、レスベラトロールを与えられたマウスは、海馬の神経細胞の数が倍増、情報伝達のスピードも上がって、迷路を抜け出す時間も飛躍的に早くなりました。白ワインでは、この効果は得られないそうです。

海馬というのは、学習したこと、見聞きしたこと、体験したことなど、記憶のすべてが最初に入ってくる場所です。ここで記憶はふるいにかけられ、必要なものは大脳皮質の記憶の保管庫に移されたり、不要なものは処分されたりするのですが、認知症の人には、この海馬の萎縮が見られることがよくあります。つまり、思い出をとどめるにも、知識や経験を次に生かすためにも、海馬がいきいきと働いていることが不可欠なのです。

ということで、体だけでなく、脳の調子を高めるためにも、一日一杯の赤ワイン。義務ではないのですから、楽しく飲みましょうね。